長年の腰痛、肌荒れ、疲労感、睡眠障害、頭痛やめまいなどの原因不明の不調に、多くの方が頭を抱えています。その原因の一つとして、過去に用いられていたアマルガムが浮上してきます。アマルガムには無機水銀という水銀が使用されており、これが気化して「蒸気水銀」になると、体に悪影響を及ぼす可能性があります。

原因のわからない体調不良に悩む方は、アマルガムの検査をすることもお勧めします。今回のブログでは、アマルガムと体調不良の関連、安全なアマルガム除去方法、そして除去後のケアについて、あおき矯正歯科の専門的な視点から解説します。

 

 

アマルガムと原因不明の体調不良、カギは水銀中毒かもしれません。

アマルガムとは以前、国が認めていた水銀の含まれた歯科用詰め物です。50%の水銀と50%の銀・錫・銅粉末で構成されており(諸説有)、生体親和性も高く1970年代は大量に使用されていました。

しかしアマルガムはわずかな刺激で気化してしまい「蒸気水銀」となり有害物質になってしまいます。これが体内に入ると内臓の機能を低下させる可能性があり、全身の健康に影響を与えます。これが水銀中毒です。


水銀中毒には大きく2種類あります。公害病として有名な「水俣病」。これは「有機水銀」(メチル水銀)に汚染された魚介類を摂取することで発症しました。視野障害・運動失調・構音障害という3つの特徴的な症状をきたします(ハンター・ラッセル症候群)。

一方アマルガムには「無機水銀」が使用されており、脳を含む中枢神経系に影響することはほぼありませんが、全身の倦怠感、皮膚疾患、免疫機能の低下など人によりさまざまな症状として現れます。(画像の下の歯にはアマルガムが入っています。上はパラジウムです。)

 

 

アマルガム除去すると多くの方は体調がよくなります。

原因不明の体調不良の改善のため、提携する医療関係施設やインターネットで調べたという方からのご連絡をいただきます。アマルガムが原因の不調ならば、除去したあと、体調がよくなったという報告をいただきますが、除去後すぐに体調がよくなることはまれです。

長年、体内に蓄積された水銀を少しずつ除去することで、体調も良くなると考えられます。最低1か月は様子を見てください。除去後は再度、毛髪検査や血液検査、医師のアドバイスのもと食事や生活習慣を見直すことも必要です。しかし、除去をして全ての体調不良が良くなるということは少ないようです。

 

アマルガム除去は保険診療でもできますが、安全面も重視するべきでしょう。

保険診療でも除去はできますが、ラバーダムや防護服は着用するのでしょうか。アマルガムを削るとき、水銀は大量に「蒸気水銀」に変化します。

患者様はもとより、治療している医師やアシストしているスタッフも、その「蒸気水銀」を体内に取り込むことになるかもしれません。歯からアマルガムを除去しても、体内に大量に流れ込んだら元も子もありません。防護服、口腔外バキューム、ラバーダムなどを適切に使用して、安全に除去することが望ましいです。

 

 

あおき矯正歯科では安全を第一に考えたアマルガム除去をしています。

当院には、アマルガムを安全に除去するための設備とスタッフの技術が備わっています。アマルガム除去の流れをご説明します。

 

カウンセリング

身体や気持ちの不調をお話ししていただき、改善した時のイメージを一緒に考えます。また、マイクロスコープや水銀ガスメーターでアマルガムの有無を確認します。

 

除去前検査

血液検査や毛髪検査などで、体内に蓄積された有害物質を調べます。(他院で行っている場合は省略する場合があります。)

 

 

アマルガム除去当日

蒸気水銀の発生の恐れがあるため、他の患者様と同時に治療はしません。除去する方だけのお時間を作ります。患者様にはには、ビタミンCなど適宜サプリメントを飲んでいただき、全身を覆うドレープ(使い捨てのシーツ)で全身を覆います。除去する歯の周囲には、ラバーダムを装着します。
院長とアシスタントをするスタッフは、防護服・キャップ・防護マスク・ゴーグル・グローブ・シューズを覆うものを装着します。窓を開けて換気すると同時に口腔外バキュームも使用します。

 

 

アマルガム除去

最小限の人数で切削をします。アマルガムの破片などは通常のバキュームで、気化した蒸気水銀は、口腔外バキュームで吸引しながら機械で削っていきます。削るときはおよそ10秒ほど、患者様に息を止めていただきます。体内に微量でも入るのを防ぐためです。事前に練習しますので、緊張せず息を止められると思います。除去ができたか、マイクロスコープと水銀メーターで確認します。

 

除去後の詰め物

アマルガムでの治療は小さい場合が多いので、コンポジットレジンで詰めます。樹脂製で生体にも安心です。インレー(詰め物)の場合、白いセラミック系を希望する方が多いです。当院でも、いわゆる銀歯よりは白い素材やゴールドをお勧めします。

 

アマルガム除去をしたら、体内に蓄積された水銀なども排出するようにしましょう。

アマルガムを除去してもすぐに体調が良くなるとは限りません。発生源は除去しましたが、長い間の蒸気水銀が体内に蓄積されている場合があります。また、自然界にも水銀は存在しており私たちの食物、特に魚介類に含まれていることがあります。自然界に存在する限り全てを避けることは出来ませんので、サプリメントを活用したり、デトックス効果のある食材を積極的に取り入れたりして排出を促すようにしましょう。

当院では、アマルガム除去後の栄養相談もしております。上手な食材の取り方、サプリメントの採り入れ方などをアドバイスいたします。もし、原因不明の不調があるのなら一度お口の中を検査してみませんか。

参照

歯科アマルガムの安全な除去と水銀デトックス

KINDERLAND

Medhikal Note

 

あおき矯正歯科