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- 2025.06.14
【咳で骨折】圧迫骨折した患者さんの後悔~骨粗しょう症リスクを可視化するPanoSCOPEの力
圧迫骨折を未然に防ぐ、新しい予防歯科のカタチ
「まさか自分が・・・」
これは、咳をしただけで背骨を「圧迫骨折」してしまった、当院の患者さんが漏らした言葉です。
あおき矯正歯科では、予防歯科の一環として、メディア株式会社の「PanoSCOPE(パノスコープ)」を導入しています。これは、歯科のレントゲン画像からAIで骨密度リスクを推定するシステムで、骨粗しょう症の兆候を可視化できる画期的な技術です。
今回は、当院に定期的に通われている70代女性の患者さん(Kさん)の実例を通じて、PanoSCOPEの意義と「受けておけばよかった」と後悔しないための行動についてお話しします。
※事前にブログ掲載の許可をご本人様より頂いております。
「ちょっと咳をしただけで…」予想もしなかった圧迫骨折
Kさんは、メインテナンスで当院に定期来院されている方です。ある日、PanoSCOPEによる骨密度リスクチェックを受けたところ、
※「重度異常(要検査)」との判定結果。
「いつか検査に行こうと思っていたけど、忙しくて先延ばしにしてしまって…」
そんな矢先の出来事でした。
ご本人が語ってくださったのは、「咳をしたときに背中に鈍い痛みを感じて病院に行ったら、まさかの圧迫骨折と診断された」という驚きの体験。
しかもこの骨折、痛みがあまりなく、このまま放置していたら悪化していたというのです。
「注射治療が18ヶ月…もっと早く動いていれば」
現在、Kさんは毎日背中に骨形成促進剤を注射し、月1万円以上の治療費がかかっているとのこと。
また、これらの薬剤の中には副作用や、生涯における使用期間に制限があるものもあります。
Kさんの
「“そのうち”が、こんなに高くつくとは思いませんでした…もっと早く対処していれば…」とおっしゃっていた言葉が、印象に残っています。
※(骨折後も定期的なメインテナンスにいらしており、当院としてもお口はもちろんKさんのこれからのご健康の支援をしていく所存です)
気づかぬうちに進行する「いつの間にか骨折」
骨粗しょう症が「静かなる病気(サイレント・ディジーズ)」と呼ばれる所以は、骨折するまで自覚症状がほとんどない点にあります。
特に背骨(椎体)の圧迫骨折は、下記のような連鎖を引き起こすリスクをはらんでいます。
- 痛みのない骨折: 約3分の2の圧迫骨折は、明確な痛みを伴わないか、軽度の腰痛として見過ごされることがあります。
- 連鎖する骨折: 一度圧迫骨折を起こすと、背骨のバランスが崩れ、骨折した骨の上下の骨にも負荷がかかり、ドミノ倒しのように次の骨折を引き起こす「骨折の連鎖」が起こりやすくなります。
- 背骨の変形: 骨折した骨は硬くなり、修復過程で潰れた形で固まるため、背中が丸くなる「円背」の原因となります。これは見た目の問題だけでなく、内臓が圧迫され、呼吸器機能や消化器機能の低下につながることもあります。
“リスクの可視化”が患者さんの人生を変える
骨粗しょう症は症状が出る頃には既に骨折していることも少なくありません。今回の事例は、まさにそれを体現するものでした。
私たち歯科医療の現場にいる者として、こうした「気づきのきっかけ」を提供できるのがPanoSCOPEの最大の価値です。
もちろん、PanoSCOPEだけで診断が完結するわけではありません。(「異常」の結果が出た際には病院にて専門医のもと正式な検査を受けて頂くよう勧めています。)歯科で得られる情報から全身の健康へのリスクを可視化するアプローチは、今後の予防医療における重要な一手です。
PanoSCOPE検査の流れ
ステップ1:撮影
パノラマレントゲンを撮影します
ステップ2:AI解析
撮影したレントゲン写真をPanoSCOPEシステムで自動解析(約2~3分)
ステップ3:結果説明
3段階判定「正常・軽度異常・重度異常」で分かりやすく結果をご説明
ステップ4:必要に応じて専門医紹介
「重度異常」の場合は、紹介状を用意し必要な際は病院のご紹介
当院では導入以来、検査実施数は約300件となっており、上記の流れで必要に応じてご紹介を行っております。
まとめ:予防こそが最良の治療
「転ばぬ先の杖」としてのPanoSCOPE
今回ご紹介したKさんの事例は早期発見の重要性を物語っています。骨粗しょう症は症状が現れてからでは治療が複雑になる場合があり、生活の質(QOL)に大きな影響を与えることもあります。
もし、あの時受けていれば・・・
その、「たら・れば」を未然に抑える為に、PanoSCOPEによる骨密度リスクチェックをぜひご活用下さい。
ご自身やご家族の健康を守る、歯科の新しい選択肢として、あおき矯正歯科はこれからも予防と全身の健康をつなぐ医療を提供してまいります。