皆さんは、歯ぎしり、食いしばりという言葉を聞いたことはありますか?
実はこの症状、日本の成人約90%が歯ぎしりや食いしばりをしてしまっているといわれています。
まずは自身に気になるところはないか?下記のチェックをしてみてください。このブログではその解決方法までお伝えします。

下記のチェックに一つでも当てはまったら食いしばっているかもしれません。

・むし歯ではないといわれているが歯が痛い
・知覚過敏
・クラウンやブリッジがすぐとれるまたは欠ける
・歯茎の骨が出っ張っている(骨隆起)
・歯の先端が削れている
・犬歯や小臼歯の歯の根元が見えている(くさび状欠損)
・起床後、歯がうずいたり顎が痛いときがある


歯を失う大きな原因は歯周病、むし歯、破折です。しかし適切なメインテナンスとホームケアを行えば、歯周病やむし歯は予防ができることも確立されています。
その中でどうにもコントロールできないのが無意識下での歯ぎしり、食いしばりです。お口の中を良い環境にするには「力のコントロール」というファクターも必要不可欠なのです。なぜならば過剰な力は、健康な歯を折ってしまうこともあるのですから!


過剰な力がかかると様々な悪影響が起きます。当院のスタッフがその影響を受けた時の体験談をお話します。


歯の痛みを訴えたので診察した際、くさび状欠損(歯ぐきが不自然に下がっている)を認めました。食いしばっていると思い、就寝時にスポーツ選手が着けるようなマウスピース(スタビライゼーションスプリント)をつけるよう伝えました。くさび部分にはアイオノマーをつけて様子を見ることに。

でも結果的には神経を取らざるを得なくなりました。スタビライゼーションスプリントをさぼりがちだったことと、充填したものが取れてしまったのをそのままにしてしまったことが原因かもしれません。唯一の救いは破折しなかったことです。
本人はしょげ返っていましたが、スタビライゼーションスプリントを見ると奥歯部分はひび状のものが入っていました。噛みしめの力も大きかったのでしょう。


このスタッフが特別なのではなく、近年は食いしばりの弊害が増えているそうです。せっかく付けたかぶせ物がすぐに取れてしまうのは、接着のせいばかりでなく歯ぎしり(ぎりぎりと横に歯が揺らされます)の可能性もあります。
かぶせ物や自分の歯が欠けてしまうのも、横揺れによる可能性が否定できません。

また、起床時に歯がうずく、顎が痛いなどは食いしばりの可能性があります。起きているときなら過剰な力がかかれば「痛い」と脳が判断して止められるのですが就寝中は最大の力で噛みしめてしまいます。


歯ぎしりや食いしばりはストレス解消の役目もあります。また、遺伝もあるので自分の意志や歯科医院の力では解決には及びません。それでもマウスピースを使った治療は高い確率で歯への悪影響を防止します。

人によりますがマウスピースをつければ8~9割の方が、歯ぎしりなどが軽減します。でも慣れてしまえば再開します。では意味がないかというとそんなことはありません。
まず、歯の代わりにマウスピースが削られるため自分の歯やかぶせ物が欠けるのを防ぎます。そして歯全体をカバーしているので力が分散されます。1か所に力が集中することがないので、かぶせ物が外れるのも予防してくれるのです。


当院ではこの「力のコントロール」を早い段階から重要視し、夜に装着するマウスピース(ナイトガード)を治療に取り入れていました。はじめは、マウスピース(ナイトガード)をつけると気になって夜眠れないという方も、昼間から徐々に慣れていただきます。

就寝中使用できるようになると「よく眠れた」「顎が楽になった気がする」と言っていただけます。そのうえかぶせ物が取れなくなったとも言っていただいています。
まれに、起きたら痛くなったという方もいましたが、それは噛みしめが強いことが原因とお話ししてバイトチェッカーでご自身の食いしばりを確認してもらった後、マウスピースの形状などを変えて治療します。

日本の成人約90%が歯ぎしりや食いしばりで歯に過剰な力がかかっているといわれています。お口の中を見ると、なるほどこの数字も大げさではないと思えます。


ただ最近気になるのは、当院にお越しになる中学生以下のお子様にも食いしばりをしている傾向がみられることです。コロナ渦を含めそれだけストレスのかかる時代なのでしょうか。

マウスピースが歯を守るだけでなく、少しでも良い睡眠をもたらしてくれるなら患者様にとってこの上ない治療になるのではないでしょうか。



参照 
歯の教科書
shopJapan睡眠中の歯ぎしりの防止方法 5つの原因と対策 

あおき矯正歯科