定期検診ではむし歯は防げない?自分に合った”メインテナンス”が重要です。
定期的に歯科医院に通っているのにむし歯になってしまった。これは避けられないことなのでしょうか?
実は、定期健診だけではむし歯や歯周病の予防が不十分な場合が多いのです。
今回は、むし歯や歯周病を防ぐために必要な「自分に合ったメインテナンス」と「正しいセルフケア」について詳しくお話します。
定期検診の目的はむし歯の早期発見・早期治療です。
定期検診は、むし歯や歯周病の、予防、早期発見、早期治療を目的としています。
歯科医師は目視やレントゲンでお口の中の問題を発見します。見つからなければ(一般的に)歯磨き指導やクリーニングをして終了します。
治療が必要であれば、早期の治療が可能なうえ、治療も最小限で済むでしょう。
では予防という観点からではどうでしょう。定期健診は年に3-4回程度が目安とされていますが、定期健診の時のクリーニングだけでは、「むし歯を作らない予防」としては不十分です。
お口の中は常に、むし歯や歯周病の「リスク」が存在します。
定期検診では異常がなかった、また安心して過ごせる。ちょっと違います。
目に見える異常はなかったかもしれませんが、お口の中は常にリスクが存在します。
虫歯菌や歯周病菌の量、歯の質、食事や間食の時間と内容などが、トラブルを進行させている可能性があるのです。
このリスクを少しでも減らさないことには、予防は出来ません。
リスクが存在し、食生活が乱れたり、生活環境が変わったりすると、むし歯や歯周病が進行する場合があるのです。そうさせないためには、自分に合ったメインテナンスとセルフケアが必要です。
予防には自分のリスクに合わせたメインテナンスが必要です。
クリーニングとメインテナンスの違いは何でしょう。どこかのセミナーで「クリーニングは洗車、メインテナンスは車検」と言っていたそうです。(文京歯科さんの2020.06.30のコラムにもありました。)
予防のためには、個人に合わせたメインテナンス(車検)が必要です。
歯周ポケットが深い場所は、念入りに歯石除去を行う。前回、むし歯になりそうだった歯は、専用の機械で数値をチェックして経過を観察し、高濃度のフッ素を塗布する。
矯正治療をした方、インプラントをしている方、義歯を使っている方。同じクリーニング(洗車)では、不十分です。
メインテナンスとは、その方のお口の状況や生活習慣に基づいて、歯科医師と歯科衛生士がより効果的なプロフェッショナルケアをカスタマイズして行います。自分だけのプロフェッショナルケアなのです。
重要なセルフケア。正しく行うためには、自分に合った方法を知る必要があります。
セルフケアは非常に重要です。1年のうち、4回メインテナンスをしたとしても、残りの300日以上は自分で自分の歯を守るのです。
歯科衛生士の適切な指導に沿って、自分に合った磨き方、フロスや歯間ブラシの使い方を実践することが大切です。
また、リスクによって自宅で気をつけることも違ってきます。
例えば、虫歯菌が多い人には、歯磨きを頑張るより、間食の取り方をアドバイスします。
何時間もかけて、甘いジュースを飲む癖のある方には、飲み物を変えることや、普段は糖分のないものを飲むようにアドバイスします。
その人のライフスタイルに合わせて無理のない、効果的なケアプランと立てるので、ぜひ実行していただきたいと思います。
メインテナンスとセルフケアの2本柱でお口の健康が保てます。
むし歯や歯周病の予防には、口の状況に適したメインテナンスと、ライフスタイルに合わせたセルフケアが大切です。
自分のリスクを知り、効果的なケアをできるだけ簡易にすることが、毎日のケアには欠かせません。
ただし、むし歯の早期発見を主とする定期健診に、20年以上も通ってお口の状態が変わらない方もいらしゃいます。
この方は、まず1年かけてむし歯を全て治し、その後は毎日の歯間ブラシと歯磨きを欠かさないと言っていました。
「定期的に歯医者に行っていれば大丈夫」という考えは辞めましょう。お家でのケアを充実させ、その上でメインテナンスを行う、2本の柱で、生涯のお口の健康が守れるのです。
参照
日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/go/check.html
予防歯科から産まれたクリニカ https://clinica.lion.co.jp/
協力
茨城県S様